「でもよかったわね。鏡作りまで、ルディーンの仕事にならなくて」
「そりゃそうよ。そんな、何でもかんでもこの子にさせられるはずないわ」
お茶を飲みながら、そう言って笑う、レーア姉ちゃんとお母さん。
何でかって言うと、さっきまで村のおばさんたちがうちにいっぱい来てたからなんだ。
おっきな鏡を作るのにいるからって、ヒルダ姉ちゃんが材料を作ってもらいに鍛冶屋さんに行ったでしょ?
そしたらその時に鍛冶屋のおじさんから何に使うのって聞かれて、ヒルダ姉ちゃんは素直に鏡にするんだよって答えちゃったんだって。
でも、そのせいで鏡を磨く魔道具ができたって、すぐ村中に広まっちゃったんだ。
ホントはね、もし買えるんだったらみんな鏡が欲しかったんだって。
だけど作れる人があんまりいないからってみんな諦めてたそうなんだけど、それが僕んちに来れば作れるって聞いたもんだからお肌つるつるポーションの時みたいに近所のおばさんたちがみんなして僕んちに来たんだ。
でもね、今回の鏡を磨く魔道具はお肌つるつるポーションと違って、僕じゃなくっても使えるんだよね。
そりゃ、鏡にするための鋼の板は僕がクリエイト魔法で作んなきゃダメだよ?
それにね、この魔道具には魔道リキッドを入れるとこを付けてないから、魔法が使える僕かキャリーナ姉ちゃん、それにおじさん司祭様やシスターさんが魔力を注がなきゃダメなんだよね。
でも使った魔石がおっきかったおかげで魔力前回で動かさなくっても磨けたから、一度魔力を注いじゃえばけっこな数の鏡が磨ける事が解ったんだ。
だから鏡が欲しい人みんなで話し合って、順番に魔道具を借りて自分で作る事になったんだってさ。
あっそれとね、この騒ぎで一ついい事が解ったんだ。
うちに来たおばさんたちの中にシスターさんもいたんだけど、その時の話を聞いたお爺さん司祭様が、街で売ってる鏡には木で作る品物とおんなじように仕上げにニスが塗ってあるんだよって教えてくれたんだ。
これを塗るとちょっとだけ黄色っぽくなるんだけど磨いた表面がさびなくなるから、お風呂でも使えるようになるんだって。
そのおかげで、村のお風呂にも鏡を付けようねって事になったんだ。
「そう言えば、ルディーン」
「なに? キャリーナ姉ちゃん」
レーア姉ちゃんとお母さんが鏡のお話で盛り上がってると、そのお話を聞いてたキャリーナ姉ちゃんが僕にこう聞いてきたんだ。
「アクセサリーはいつ作ってくれるの?」
そしたらね、さっきまでお話してたレーア姉ちゃんとお母さんまで急に黙って僕の方を見たんだよね。
でもキャリーナ姉ちゃんは僕の方を見てるから、それに気付かずにニコニコしながら、ねぇ、いつ? って。
「アクセサリー? それって、お姉ちゃんたちが雑貨屋さんで買ってたやつだよね?」
「うん。ルディーン、あの時作ってくれるって言ってたでしょ?」
「言ってたけど、キャリーナ姉ちゃんもあそこで髪飾り、買ってたじゃないか!」
「買ったけど、自分のお顔が見えるようになったから、他にもほしくなっちゃったんだもん!」
いままでは髪飾りとかを着けてても、それを付けてるとこを自分で見れなかったでしょ?
だから一個新しいのがあったら、それに飽きるまではそれだけで良かったんだって。
でもね、鏡を作ったからアクセサリーを付けてるとこを見られるようになったもんだから、キャリーナ姉ちゃんは他のとこにつけるのとかも欲しくなっちゃったんだって。
「ねぇ、いいでしょ? 髪飾りじゃなくっても、あの時買った鎖にくっつけるちっちゃな奴でいいから」
「それくらいならいいけど……」
「ほんと? やった!」
僕がいいよって言ったら、キャリーナ姉ちゃんは大喜び。
でもね、その前に言っとかないとダメな事があるんだ。
「でも、お姉ちゃん。あの時言ってた石と羽で作るのは無理だよ。石を綺麗にする方法、まだ解んないもん」
「あれ? 鏡をピカピカにできたんでしょ? 石はできないの?」
「ペンダントにくっつける石だとちっちゃすぎるもん。あんな魔道具だと無理だよ」
多分同じような方法で石もピカピカになると思うんだけど、ペンダントとかにつけるくらいちっちゃな石だと一角ウサギの毛皮はおっきすぎるんだよね。
だからおんなじやり方じゃ無理だよって、僕はキャリーナ姉ちゃんに教えてあげたんだ。
「そっか。じゃあさ、最後に見た大人の人たちがつけるようなのは? あれだったら、鉄をピカピカに磨いたのを使えば作れない?」
「最後のって、鏡がのってたとこにあったやつ?」
「うん! きれいな石がついてるのは無理だけど、そう言うのが無いのでもいろんな形があってとってもきれいだったもん。私、ああいうのが欲しいなぁ」
そう言えばハートが二個重なってるようなのとか、お馬さんが彫られてるちっちゃなコインがついてるのとかがあったっけ。
う〜ん、確かにあれだったら作れそうだなぁ。
それに細い鋼の棒を作ったのを魔道具で磨いとけば、もしかしたらキラキラしたまんまであんな形が作れるかもしれない。
「すっごく難しいのは無理だけど、簡単のだったら作れるんじゃないかなぁ?」
「ほんと? じゃあ作って!」
流石にお店に置いてあったような複雑な図形のとかは無理だけど、ハート形くらいだったら僕でも作れそうだもんね。
だから作れるよって教えてあげると、キャリーナ姉ちゃんは大喜び。
僕のおててを握って、早く作ってだって。
「うん、いいよ。どんなのがいいの?」
「そうだなぁ。どういったらいいか解んないから、お庭行こ。地面に書いてあげる」
でね、どんなのを作って欲しいか描いてあげるって、そのまま僕をお庭に引っ張ってこうとしたんだよ。
ところが、
「あ〜ちょっと待ちなさい、二人とも」
そんな僕たちを、レーア姉ちゃんがこう言って引き留めたんだよね。
だから二人してそっちを見たんだけど、そしたらレーア姉ちゃんと一緒にお母さんまでちょっと怖い笑顔でこっちを見てたんだよね。
「えっと、どうしたの?」
「二人とも、あの時にアクセサリーを作ってもらう約束をしたのはキャリーナだけじゃない事を忘れてるんじゃないかしら?」
「そうよね。無理にとは言わないけど、折角ルディーンが鏡を作ってくれたんだから、私だって新しいアクセサリーを付けてその鏡に自分の姿を映してみたいわ」
簡単に言うと、キャリーナ姉ちゃんだけずるいって、お母さんもレーア姉ちゃんも言いたかったみたい。
まぁ、元々雑貨屋さんではみんなの分を作るって話だったもんね。
でもさ、キャリーナ姉ちゃんのだったらほんとに簡単なのでいいけど、お母さんがつけるのとかだとそんなのじゃダメだよね?
「でもさ、お母さんがつけるのとかだと、そんなに簡単に作れないよ? それにレーア姉ちゃんも、キャリーナ姉ちゃんに作ってあげるのみたいに、鉄で作ったのじゃダメでしょ?」
「それはそうだけど……」
だから僕がそう言うと、お母さんとレーア姉ちゃんは二人ともしょぼんとしちゃった。
「ルディーン、お母さんたち、ちょっと可哀そう」
そんな二人を見て、キャリーナ姉ちゃんが何とかならないかなぁ? だって
そうだなぁ、今んとこ、ほんとに作れるかどうかは解んないけど……。
「キャリーナ姉ちゃん、すぐに作んなくてもいい?」
「なんかいい方法、あるの?」
「うん。ほんとに作れるかどうかは、やってみないと解んないけどね」
キャリーナ姉ちゃんのはすぐにでも作れるけど、お母さんやレーア姉ちゃんにだけいいのを作ったら怒っちゃうもんね。
だから3人分いっぺんに作るから、キャリーナ絵姉ちゃんも分ちょっと待っててねって僕はお願いしたんだ。
鏡があったら、やっぱりおめかししたいですよね。
そして、一人がアクセサリーを作ってもらえるとなったら自分もとなってしまうのも仕方がありません。
と言う訳で、鏡を作ったルディーン君は、それによって新たにアクセサリーまで作る事となりました。
……ところで、ほんとに3人分だけで済むかなぁ? この物語には、他にメインヒロインと呼べる子がいるのにw